卵巣がんとは、卵巣の様々な細胞から発生する
悪性腫瘍のことをいいます。
卵巣がんの主な症状
卵巣がんは自覚症状に乏しく、「サイレントキラー(無言の殺人者)」と称されています。自覚症状の多くは、加齢や食事制限、閉経の影響によって起こる一般的な症状とよく似ているため、早期発見が難しくなる場合があります。また、ホルモンに関連した症状が見られる場合もあります。症状だけで診断することは困難なため、気になることがある場合は医師へご相談ください。
卵巣がんの原因
卵巣がんの多くは閉経後に発症します。排卵する際に卵巣表面にできる傷が関連すると考えられており、排卵回数が多いほど危険性が高まります。食事などの生活習慣や肥満、子宮内膜症などの婦人科系の病気も原因のひとつとされています。また関連する遺伝子の異常にも、様々なものがあります。*1
遺伝性卵巣がん
生活環境による要因のほかに、遺伝的な要因が関与している場合もあります。このうち、特定の遺伝子の病的な変異が親から子へと伝わり、それが原因で発症する卵巣がんを「遺伝性卵巣がん」といいます。
国内で最近行われた研究の結果、卵巣がんと診断された患者さんのうち17.8%の方が、特定の遺伝子に病的変異がある遺伝性卵巣がんであることが分かりました。*図5 比較的若い年齢で卵巣がんになった患者さん、卵巣がんになったご家族がいる患者さん、特定のタイプの卵巣がんの患者さんでは、こうした遺伝性卵巣がんの可能性が高いことも分かりました。*表1
【図5 遺伝性卵巣がんと
診断された患者さんの割合】*2
【表1 遺伝性卵巣がん患者さんに
多くみられる特徴】*2
- 55歳未満で卵巣がんと診断された。
- 卵巣がんになった家族(祖母、母、姉妹)がいる。
- 高異型度漿液性(こういけいどしょうえきせい)と呼ばれるタイプの卵巣がんである
卵巣がんの早期治療
早期に卵巣がんが見つかって
治療を受けた女性は、
治療効果が高くなることが
分かっています。*3
- *1日本婦人科腫瘍学会(編):患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第3版, 金原出版, p146-151, 2023
- *2Hirasawa A, et al. Oncotarget 2017; 8: 112258-112267 より作図
- *3Heintz AP, et al. Int J Gynaecol Obstet 2006; 95(Suppl 1): S161-192.